ド・ホー・スー「WALK THE HOUSE」@テート・モダン

 

2025年5月1日から10月19日まで、ロンドンのテート・モダンでは、韓国人アーティスト ド・ホー・スーの約20年ぶりとなる大規模な回顧展「The Genesis Exhibition: Walk the House」が開催されています。本展では、30年にわたる創作活動を通じて、空間、記憶、移住、アイデンティティをテーマにした大規模なインスタレーション、彫刻、映像、ドローイング、アーカイブ資料が紹介されています。

 

 

注目作品は、透明なポリエステルと金属フレームで構成されたカラフルな通路の迷路「Nest/s」(2024)。ソウル、ニューヨーク、ロンドンなど、アーティストのかつての住居を半透明で再現し、鑑賞者が実際に歩き回ることができます。そのほかにも、韓国の実家を和紙とグラファイトで再現した「Rubbing/Loving: Seoul Home」(2013–2022)や、ロンドンの現在のアパートメントを再現した作品も登場。取っ手やスイッチ、ヒューズなど、過去の家の細部も忠実に表現されています。

 

 

没入感のある美しさにとどまらず、本展は「住まい」と「永続性」という根本的な問いを投げかけます。場所はどのように私たちのアイデンティティを形作り、移動のなかで何が記憶として残るのか。一部の批評家は、大型インスタレーションがドローイングや映像作品を圧倒していると指摘しましたが、主要作品の感情的な力強さは、訪れる人々の記憶と共鳴し、詩的で繊細かつ人間味あふれる体験を提供します。