ルイ・ヴィトン財団における「デイヴィッド・ホックニー25」展

2025年8月31日まで、フォンダシオン ルイ・ヴィトン（ルイ・ヴィトン財団）は、現代美術の重要人物であるデイヴィッド・ホックニーの特別な回顧展を開催しています。展覧会のタイトルは「David Hockney 25 – Do remember they can’t cancel the Spring（春は決して取り消せないことを忘れないで）」で、11のギャラリーにわたり、約70年に及ぶ創作活動から選ばれた400点以上の作品が展示されています。初期の実験的な作品から、ノルマンディーで制作された最新作に至るまで、現在87歳のホックニー自身が展示作品の選定に関わりました。

油彩、木炭によるドローイング、複合写真、没入型ビデオ、iPadによるデジタル作品など、使用されているメディアの多様性は、ホックニーの尽きることのない創造力を物語っています。『ア・ビガー・スプラッシュ』や『アーティストの肖像（プールと2人の人物）』といった代表作は、ノルマンディーの自然に着想を得た近作や、モネ、ムンク、ブレイクへの鮮やかなオマージュと対話しています。また、オペラの舞台美術に関するインスタレーションは、演出面で新たな視点を加えています。

単なる時系列の展示を超えて、この展覧会は自由な精神を持つアーティストの世界へと深く入り込む親密な体験を提供します。光、季節、時間の移ろいに魅了されてきたホックニーは、欲望や記憶、日常の美といったテーマを通じて、春は決して消されることがないと優しくも鮮やかに私たちに思い出させてくれます。この夏のパリのアートシーンにおいて、見逃せない展覧会です。